研究課題
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化合物ライブラリーの基盤構築とタンパク質制御技術の開発

代表機関:東京大学大学院薬学系研究科
代表研究者:長野哲雄

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「ターゲットタンパク研究プログラム」では、タンパク質の構造や機能を明らかにするとともに、タンパク質の活性を制御するはたらきをもつ比較的低分子の化合物をつくり出したり見つけ出したりして、研究に提供することも大きな目標の一つになっています。

例えば、あるタンパク質をはたらかなくする物質があれば、もともとそのタンパク質がどんな機能をもっているのかを知る有力な材料になりますし、さらに病気の治療や発症予防につながる可能性もあるでしょう。タンパク質の制御化合物は、基礎的な研究にも新しい薬を見つけ出すなどの実用的な面にも大いに貢献するはずです。私たちは、この研究プログラムの社会還元に寄与することをめざして仕事を進めています。

さて、制御化合物をつくり出すために必要なことがいくつかあります。中でもまず大切なのは、しっかりした化合物ライブラリーを構築することだと私は考えています。化合物ライブラリーとは、制御する働きをもつ化合物をきちんと集めて保管し、探索できるしくみを整え、必要に応じて研究者に提供するシステムです。これまで日本では個別の研究者が小規模に収集するに留まっていましたが、米国や韓国では国が先頭に立って大規模に事業を進めています。

私たちは、東京大学に「生物機能制御化合物ライブラリー機構」を立ち上げ、施設を整備して、現在、7万種の化合物を収集・保管しています。最終的には十数万種の化合物を提供できる体制を構築する予定です。ライブラリーには、タンパク質の構造研究者や有機合成の専門家、分子生物学や医学の研究者などのチームが参加しています。

さらに化合物を選別するスクリーニングシステムの開発も大切です。そこでは化合物アレイや検出装置など、新しい技術開発も求められています。また、構造や物性などのデータをもとにコンピューター上で制御化合物を予測したり、つくったりする技術の開発にも併せて力を注ぐ必要があります。

こうした基盤が整備されれば、弱いとされてきた日本の創薬科学の足腰がしっかりできあがるでしょう。タンパク質については、遺伝子から出発し、構造、機能、制御物質とその利用までを考えたシステムづくりがあってはじめて成果を社会に還元できると思っています。

ターゲットタンパク研究
制御化合物開発の概念図
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